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2009年 08月 08日
遅ればせながら公表された新党日本のマニフェスト。それ自体は政治的に見て、いちいち取り上げるほど重要度の高いものとは思わない。が、一つ気になるところがある。それは、例によって口当たりの良い準・バラマキ公約を列記した上で、その財源の一部として、「公益法人と独立行政法人などの外郭団体の廃止」がうたわれていることだ。読む人が読めば誠にもっともであり、官僚流の前例踏襲主義からの脱却など、いかにも田中康夫氏らしいコメントではある。だから、これが「外郭団体の廃止」というのなら、このブログの主旨とも一致する話(「外郭団体(3)」09.4.30)だが、このマニフェストを報道した各紙の中には、「公益法人と独立行政法人の廃止」と書いたものも散見された。
誤解を恐れずに単純化していえば、公益法人には二種類ある。一つはおおせのとおり官庁べったりで、予算も天下りも、なんでもかんでもお役所まかせ。まるでお役所別働隊として機能している「税金食い虫」これが二万数千ほどある公益法人のうちで、数にして四割、使っているオカネにすると七割近い(別に14兆円という数字もある)。何にもする仕事がなくて、職員に文房具の棚卸しを毎日やらせている、というのはこの口だ。そういう法人の役員が黒塗りのクルマ付きで年俸数千万円というのも稀ではない。もう一つの方は、度重なるお役所からの口出し、横やりにも関わらず、民間の非営利活動をしこしこと一生懸命やっている筋目正しい公益法人で、これが今回の公益法人制度改悪で存続の危機に立っている、というのは先にも書いた(最近では「公益法人制度改革(3)」09.3.26)。こともあろうに、第一の種類の公益法人化しようと(つまり何でも役所のいうことを聞かせよう)いう小役人の陰謀のような話である。 それを知って知らずでか。汚い表現で恐縮だが味噌も糞も一緒にして、公益法人性悪説、公益法人断固潰すべし、の議論は日本の市民社会を危うくする。そうでなくても、今回の公益法人制度改悪を早めになんとかしなくては日本の公益法人は死滅する。20世紀には一般的だった「官」「市場」「市民社会」の三人のプレーヤーモデルが、それぞれに境界線が曖昧になり、「公」と「私」の機能を巡って、世界中で新しいモデルが模索されるようになってきている。そんな時代の大勢に逆らって、お役所万能、公益国家独占主義を復活させ、振り回さんばかりのメンタリティのものすごさと、現実の猛威を見ていると、霞ヶ関中心の政治を打破するの、政官癒着と決別するのと、スローガン倒れの青い議論と総論で満足していらっしゃるかに見える政党の皆さんが危なく見えて仕方がない。
by akirairiyama
| 2009-08-08 16:06
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