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2009年 09月 10日
衆議院では圧倒的多数を占める民主党だが、参議院では単独過半数には及ばない。だから政策合意に基づく複数与党体制が必要になる事情は解らないではない。しかし、今回明らかにされた国民新党と社民党との合意内容なるものは、それによって得るものと喪われるもののバランスが余りにもとれていないのではないか、という観がある。選挙に当たっての共闘体制もあった。だからこの二党との連携が唯一の選択であったことも想像に難くない。のみならず、政権交代を訴え、自民党体制からの離脱を公約した以上、渡辺「みんなの党」や自民党からのスピンオフ・グループが考慮の対象から外れたのも無理からぬ選択だったとも思う。しかし、それでもなお、バランス感の欠落は否めない。
郵政民営化反対という(筆者から見ると)時代錯誤的主張を繰り返す国民新党との連携は、主義主張の問題だからよいとしよう。民主党自身も全否定とは言わないまでも郵政民営化の具体的手法には異論をお持ちのようであることもある。しかし、社会主義を志向し、護憲一筋、日米安保体制に疑念さえ呈している社民党との連携は本当に民主党を選んだ選挙民の意思を反映しているだろうか。のみならず、政策決定の内閣一元化にこだわり、内閣外での協議機関設置を拒んだ結果、議席数に全く釣り合いの取れない各党に一閣僚を保証するという選択は、300議席を民主党に与えた民意と乖離してはいないか。 議院内閣制を採用している以上、多少の妥協や歩み寄りは当然のことで異を唱えるにはあたらない。しかし、郵政行政を所管する大臣ポストを要求されたり、無任所大臣ではなく官庁を下に従えた大臣ポストを求めたりする報道が公然となされるのを目にし、耳にすると、政党間連携というのは、何でもありの様相を呈してくるのではないかという懸念が拭えない。こうした懸念が杞憂であることを望む。鳩山首相を始めとする民主党幹部の良識と行動力には期待こそすれ、妙な予断を持って揚げ足取りをする意図は全くない。しかし、かつての何でもありの小沢的強腕政治手法の記憶が消え去っていない中では、政策実行手法について一抹の不安を禁じえない人も多いと思う。 鳩山内閣には期待するところが余りに大きいこともあって、妙な制約やしがらみが内閣発足前に既成事実化しないことを祈る。内閣がこれから立ち向かわねばならぬ政官癒着体制を代表する勢力からすれば、敵の内部分裂こそはまさに天の福音だ。毛ほどの隙を見せてもそれをこじ開け、拡大させることには著しい能力を持つ勢力が相手であることをお忘れにならないように。こういうのを老婆心というのかな。
by akirairiyama
| 2009-09-10 23:12
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