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2010年 03月 15日
パリ・オペラ座のシンデレラ公演を見た。シンデレラはフランス語でサンドリヨン(Cendrillon)というのだそうな。イタリア語ではチェネレントラ(Cenerentolla)という。最初オペラでチェネレントラというのを聞いたときは、てっきり別の物語だと思ったのを思い出したことだった。
今回の公演はヌレエフの振り付けによるものだが、なんと舞台は1930年代のハリウッドと言う設定である。シンデレラと二人の姉たちはスターを夢見る乙女で、王子様は主演の男優のスター、仙女役はプロデューサーということになる。オペラ舞台の荒唐無稽な現代版化というのは、ヨーロッパ、特にドイツの若手演出家によく見られる傾向だが、おおむね頂けないものが多い。それに較べると、今回の設定はそんなに無理がないのみならず、とても楽しく出来上がっていたように思う。 強いて言えば、例の真夜中になると魔法が解けてしまう話を、「槿花一朝の夢」ではないけれど、幻の栄華に対する警告という含意にして主人公を舞台から去らせる、というのが少し無理かな、という点だろうか。しかし、それにも増して、シンデレラにチャップリンの真似をさせてみたり、スタジオ風景ではなんとキングコングまで登場するというサービス精神は、主演クラスは言うに及ばず、見事なグラン・バレエと共に、心底楽しめる舞台になっていた。 バレエとの出会いは、半世紀以上前にマーゴット・フォンティーンの映画「ローヤル・バレエ」にはまって、小遣いをはたいて十度ほど映画館に通ったのが始まりだ。この途に観客として「はまる」と行き着くところどんなことになるか、という実例を何人か存じ上げたから、今は単なるバレエ好きの一観客、という結構な状態に満足している。そんな「はまり」の典型で自ら東京バレエ団を主催するに至った佐々木忠さんのNBSが今回公演のプロモーターだ。会場には佐々木さんの姿も見えた。体調が今ひとつ本復されていないようで、心配なことだ。
by akirairiyama
| 2010-03-15 12:06
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