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2010年 05月 23日
しばらくは公私だ、官民だというテーマを続けるつもりなのだが、ブログを3週間ほどお休みした消息を聞いていただいて、一息入れることにする。
入院してベッドで安静にする期間が長いと、若い人でも退院時に脚が覚束なくなっているらしい。回復のリハビリには入院期間と同じくらいが必要だと聞いた。別に入院していた訳ではないが、かなり体力を消耗する治療を受けて、それを口実にぐうたらしている生活が数ヶ月続いていたから、脚力を始めとする体力の低下は歴然で、リハビリのトレーニングみたいなことを思い立った。加えて、治療の副作用というのか、声帯がやられてまるで声が出ない、という期間がこれまた数ヶ月あり、人とのコミュニケーションは論外。ということになると、展覧会に出かけて絵でも見ているのが(あれはあれで結構歩く。映画を観ているのではこうはゆかない。)知恵かと思われた。 三岸節子の絵は昔から好きだったのだが、日本橋高島屋で相当規模のコレクションが展示されるというのででかけることにした。昔名古屋の駅近くにヒマラヤ美術館というのがあって、三岸のコレクションで有名だったが、経営主体の製菓会社がおかしくなって、散逸してしまったと聞いていたので、どれほどの作品が集結しているのか、不安と期待もあった。 代表作はほぼ網羅した良い展覧会だった。展覧会の掲示は余り読んだことがないが、今回の展覧会では、三岸の文章の抜き書きが、代表的な作品の横にさりげなくそえられている。「あせることはない。ゆっくりやればよい。」とある。これが彼女70歳の言葉。古井由吉の「やすらい花」のように70歳は老いさらばえて枯淡の風情、というのも自然の摂理で味があるが、その後20余年を生きて旺盛な制作意欲を示した画家の人生への取り組み方にも感に堪えるところがある。 彼女は40代後半には具象に行き詰まって、「丸や四角だけの世界はないものか」みたいな文章を残している。しかし、49歳にして始めて渡欧するのだが、その直後から魅入られたようにヨーロッパの風景画に没頭する。彼女の感性にどれほど欧州の風物が新鮮な印象を与えたか、感動的でさえある。とはいえ、もちろん風景は彼女の中に再構築された風景であって、例えば、同じ日に近くのブリジストン美術館(われらが首相のあの有名なお母様の実家のコレクション)で観たモネのベニスと彼女のベニスを較べてみれば、とても同じ都市だとは信じられない。 行ってみて驚いたのは、エレベーターガールがまだ存在していることだ。それも、自動エレベーターのボタンを押して「お次は何階止まります」なんていうまがいものではなく、あの昔ながらの金属製の柵のような扉を、手袋で磨き込まれて金光りするハンドルでちゃんと操作する、本式である。扉が閉まるごとに指先までピンとのばした手で確認作業。会場に入る前から良い気分である。 口をきかないで、しかも適度のリハビリということなら、添乗員付きの団体旅行(例のガイドさんが旗を持って、後ろについて歩く、あれである。)も悪くない、と思いつくのだが、それについてはまたいづれ。
by akirairiyama
| 2010-05-23 10:56
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