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2010年 06月 25日
シャルル・ボワイエ、ダニエル・ダリューなんていうと「懐かしの名画」の部類に属する。筆者が高校生の頃(というのはもう半世紀以上前のことになるが)フランス映画全盛期があって、その頃にはこのお二人まだ大御所で、日本ではれっきとした現役スターだった。(高校のクラスメートに広重というやたら英語の出来るのがいて、英語読みをするとチャールス・ボイヤーだぜ、といったのを覚えている)
撮影されたのは1935年だが、当時の日本では上映が禁止されていて、戦後解禁されたこの二人の名画に「うたかたの恋」というのがある。原題は「マイヤリンク」というオーストリア皇太子が愛人と拳銃自殺を遂げた(これが上映禁止の理由だったという)味も素っ気もない狩猟小屋の名前だが、邦題を考案する時にはよくやるテで、今回の英国ロイヤルバレエ公演も、もちろん原題はMayerling、日本では「うたかたの恋」という定訳になる。 この事件自体は、オーストリー・ハンガリー帝国崩壊直前の事件だから、いまだに暗殺説などなど入り乱れているということのようだが、史実の詮索はともかくとして。今回の舞台はとても見応えがあった。一つには入り組んだ人間模様を踊りで表現することに成功している。皇帝と皇后(あのエリザベート)にそれぞれ愛人がいて、それをお互いに知っていて、それが皇太子フランツの鬱屈の原因の一つで・・・みたいな話をあっさり踊りで解らせるというのは驚きである。 もうひとつは、極めて官能的な場面(ベルギー皇女との初夜、愛人とのセックス)がふんだんなのだが、最近のドイツのバレエあたりにありがちな、裸にしたり、性交動作そのものを舞台上で再現したり、といった露骨なやりくちではなく、極めて洗練された形で表現されているところが振り付けの妙というべきだったように思う。まさに「秘すれば花」には洋の東西を問わない。 この公演も佐々木忠治さん率いる東京バレエ団ないしは日本舞台芸術振興会の主催だ。公演を欠かしたことのない佐々木さんが、健康が優れないらしくお見受けしないのも気がかりだが、収入と支出がトントンでなくてはならない、余ったオカネは一年で使いきれ、溜めておいてはいけない、などという正気の沙汰とも思われない制限を「公益」法人に課している今回の法改悪。佐々木さんの団体も。こんな馬鹿な縛りの元では、おやりになっている仕事が「公益」だとは認められそうにもない。優れぬ健康にさらにいらざるご心配をかけないためにも、この法律は一日も早く撤廃させねばなるまい。
by akirairiyama
| 2010-06-25 10:47
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