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2010年 07月 21日
北朝鮮が「ならず者国家(rogue country)」であることに異論は少ないだろう。黒塗りの車を国連本部に乗り付けて、「将軍様」の弁護に相務める一見インテリ風の外交官の存在も、この事実をゆるがせるものではない。(不思議に思うのだが、あれほど一見知性が豊富に見える外交官が、プロパガンダを本気で信じているのだろうか)計画的に日本人を誘拐・拉致し、あげくの果てにその事実を否定したかと思えば肯定し、そのうえで残存日本人はもういない、とか、死亡した、とか、捏造した証拠まで用意して強弁する、というのは尋常な神経ではない。
腹立たしいことはいうまでもない。被害者のご家族の感情については想像の域を出ないが、日本人として何かが出来ないかというもどかしさは広く共有されていると思う。それが何も出来ない。向こう様の思うまま、気の向くままの措置を甘んじて受けるしかない。小泉首相の訪朝とそれに伴う何人かの帰国も、30年ぶりの朗報であったことには違いないが、向こう様の一存という趣きは拭いようがない。一昔前なら間違いなく戦争が始まっているし、ハリウッド映画なら特殊工作員が潜入して救出作戦を敢行しているだろう。それが夢物語に過ぎないのであってみれば、誰しもが、特に被害者のご家族は藁にもすがる思いなのだ。 そんな折も折、金賢姫の来日である。チャータージェットで護衛付きで軽井沢に乗り込み、大喜びで別荘を提供する奇特な方まで現れて、拉致被害者の知られざる情報を家族に直に伝えるのだという。元工作員がどうして死刑を免れて特赦に預かったのか。北朝鮮諜報活動の秘密とひきかえだ、というのが一番考えやすい。とすれば今回の訪日騒ぎに北朝鮮、あるいはその諜報機関が関与しているとは考えにくい。それとも韓国政府が間に立ってその工作をしてくれたのか。そうでもなければ韓国に亡命している彼女には30年前の昔話以外する話がある筈がない。そんな話を聞きたさのこの騒ぎとは考えにくいだろう。そんなスパイ映画もどきのシナリオでもない限り、今回の騒ぎはしたたかな元工作員の自作自演のお芝居にみんながよってたかって乗っかっている、としか考えられまい。だとすれば横田さんのご両親を始め、人のもっとも弱い部分をもてあそぶに等しく、とても許されることの展開ではない。 万が一にも北朝鮮側に被害者を帰す気があるのなら(それを期待することについては人後に落ちるものではないが)、こんな芝居がかった方法をとる必要がどこにあるのか。メンツを重んじるお国ぶりであるにしても、こんな茶番を踏むことがメンツを保つことと関係があるとは考えにくい。したり顔でシナリオを書いた人のいるであろう金賢姫国賓待遇のご訪日だが、いかに異常な国の異常な振る舞いを相手にしているにしても、こんな馬鹿げた猿芝居ともいうべき権道は採るべきではない。
by akirairiyama
| 2010-07-21 22:43
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