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2010年 07月 25日
トリノ歌劇場公演はトラビアータとボエームの二本立て。ソプラノはフリットーリとデッセイの二枚看板だというから、去年バスチーユでデッセイのミミを聴いたせいか、何とはなくフリットーリがビオレッタを歌うものだと思い込んでいたら、逆だった。もっとも、デッセイはムゼッタも歌うようだから、彼女がボエームだと思ったのもまんざら外れという訳でもなさそうだ。
まずはトラビアータを聴いてきた。最近欧州でとみに名前の高いローラン・ペリの演出は、冒頭あの少し悲劇的な序曲と共に、照明を落とした舞台にビオレッタの柩を先頭に傘をさした葬儀の参列者の行列が続く。それをアルフレードが舞台袖から悲しそうに見つめる、という所から始まった。いやあ、やるなあ、という感じである。デュマの原作は読んだ事がないが、何でもこの演出は原作に忠実なのだそうで、それなりの効果を上げていたのは事実だ。 彼の演出はビオレッタの娼婦性を強調し(もちろん二幕は別だが)、蓮っ葉な振る舞いに溢れるほか、随所に嬌声とおぼしき金切り声をちりばめる。正直この金切り声は少しいかがかと思われた。舞台は抽象的というのか、最近よくある幾何学的な無機的な立体を基本にした構成だが、このオブジェの配置の中で群衆の処理に成功していたとは思わない。例のジプシー占いの女性たちを舞台奥の数多くの立体の上に一人づつ立たせて合唱させる、というのは特に違和感があった。二幕でビオレッタにシャツとパンツを着せて、ボーイッシュな振る舞いをさせるのも、必ずしも納得性があるとは思わなかった。が、最近の若い演出家にありがちな独りよがりの押しつけではない。そこに一線を画しているのが一流と言われる所以なのだろう。 それはともかく、デッセイが素晴らしかった。いつも彼女を聴くと思うのだが、あの小さな体のどこからあれほど豊かで統制のとれた声が出るのか。ますます円熟味を増した彼女は、ビオレッタをまだ演じ始めて日が浅いとはとても思われなかった。何でも彼女はペリの演出に心酔しているのだそうだが、こちらとしては、せっかくの彼女の声を、古典的な演出の中でじっくり聴いてもいいな、と思わないでもなかった。ただ、終幕の演出は見事というべきだろう。彼女の声と演技が、シンプルな舞台装置とぴったりだった。アルフレードのポレンザーニ、ジェルモンのナウリも好演で、特にナウリの例の「プロバンスの・・」では大拍手が巻き起こった。筆者の好みから言うともう少し暗い声のバリトンの方がジェルモンにはあうと思うのだが、すてきな声である事に変わりはない。私生活ではデッセイのご主人だそうだから、フレーニとギャーロフの事を思い出したりしたことだった。指揮は始めて聴くノセダ。とても解りやすい指揮者だと思った。来週はボエーム。楽しい一週間になりそうだ。
by akirairiyama
| 2010-07-25 00:53
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