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2010年 08月 26日
アングロサクソンの味覚には余り信用をおいていない。(国際化の進んでいる昨今では意味を喪いつつある区別かもはしれないが。)だから、同じカナダでもフランス語地域のケベック州あたりでは、かなり水準の高いレストランも散見された、というのは三十年ほど前に確かめた知識ではある。そんな偏見に基づいて分類すれば、カナディアン・ロッキーはいうまでもなく英語圏。さしたる期待も出来まい、と思ってはいた。五泊六日の旅行だから、まともな食事は五回として(一日二回の大きな食事は流石にtoo muchという年齢に達した)そのうち半分は音に聞くアルバータ州の牛肉を試みようと思っていた。
ところが、第一回目の夕食の席に着いたウェイターは、断固バイソン(水牛)にしろとという。考えてみればバイソンが食べられるというのはカナダ、それもこの辺りだけだろう。やってみようではないか、と試してみたら、これがなかなかいける。牛肉に比べると若干淡白な趣だが、それは周りに巻いたベーコン(ちなみに燻製加工品の質は高い。さすがに牧畜出自のお土地柄だ。)で補うという趣向になっている。ちなみにこの後も、ウェイターに勧められてエルク(大鹿)を食べることになるのだが、これもまた結構なものでした。牛肉も日本で珍重される「さし」の入った霜降りではなく、断固赤い牛肉が北米大陸の正統派牛肉であって、これはこれで「牛肉」という味わいが強い。 ちょっと気取ったレストランでは、ステーキは8オンス(約200グラム)としたもので、お皿からはみ出るような1ポンドステーキを売りにしている店とは一線を画しているようだ。大衆路線の店というのは量の勝負、という趣が棄て難い。だからハンバーガーの巨大さたるや、傍で見ていても驚くべきものがある。これと巨大としか言いようのないデザートを長年召し上がっていると、日本ではちょっとお目にかかれないようなobesity(肥満体)が出来上がる。日本料理というのは、それに比べてみれば健康食品そのものだ。日本食ブームというのも、単に味覚の問題だけではないように思われることだった。 わづか1週間足らずの滞在でカナダ論をぶったりしたらカナダ人に気を悪くされるだろうが、とにかくこの国の人々は、細かいことは気にしない、という風があるようにお見受けした。空港のチェックインカウンターにしても、いろいろな施設での動線形成にしても、とにかく大きな国なのだから、たっぷり空間をとっておけばそれで後は何とかなる、という趣がある。食後のデザートとコーヒーを三つの(相当なレベルの)レストランで注文したのだが、その全てにおいて、先ずコーヒーが出てきて、あきれるほど長い時間が経っても(具体的に言えば一杯めのコーヒーを飲み終わってしばらくしても)デザートが登場しない。日本とは言わず、気の利いたフレンチレストランだったら、両者の給されるタイミングそのものがデザートサービスの一部を構成するほどのものなのだが。
by akirairiyama
| 2010-08-26 00:16
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