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2008年 01月 09日
日経新聞1月8日朝刊は一面「YEN漂流・縮む日本」の5回目に、「北畠次官の誤算」という大見出しの記事を掲載した。日本高級官僚の鈍感さというか愚劣さと、それを批判一つできない日本マスコミをここまで見事に表している例は滅多にない。挙げ足取りだ、knit-pickingだという非難を覚悟の上で、何が珍妙かを指摘してみたい。
記事の内容はこうだ。1986年日本の景気が最高潮のころ、円高を背景に老後は日本で暮らすより、海外(特にスペイン、他にオーストラリア、タイ等が候補に上がっていた)に住んでのんびり豊かに暮らそう、というのを通産省(当時)が音頭をとって、シルバーコロンビア計画と称して大々的に打ち上げた。それがいまやユーロ高あるいは円安で事情は暗転した。当時その提案の張本人がいまや経産次官。同期の他省の次官等から「本当に行くんだろうな」と冷やかされている。本人は迷っている。 円高が円安になった、見通しが悪かった、というのは本題ではない。そんなことを言い出したら為替介入をした大蔵(当時)当局は何度腹を切っても追いつくまい。そうではなくて、老後は日本ではなく海外で過ごしたほうが幸せだ、というのを民間組織がいうのならともかく、クニが(従って税金を使って)大々的に唱導するという行為の異常さ、グロテスクさを官僚が気づかず、マスコミも(この期に及んでも)一切批判しない、という不健全さである。 こういう馬鹿げた行政のあり方。すべきではないことを得々として行い、それがあたかもアイディアに満ちた異色官僚であるかのごとく提灯を持つマスコミ。それが年金を使ったレジャー施設、林野庁のグリーンピアを始めとするさまざまな武士の商法を生み出したと言っても過言ではあるまい。日経の記事が正しければ、この愚劣なプロジェクトの発案者は淘汰されるどころか、最高の次官の地位にまで上りつめたようだ。官の病根は深い。
by akirairiyama
| 2008-01-09 23:50
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