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2008年 02月 07日
公益法人というと、不祥事とか、天下りとか、何やら怪しげで官民が癒着して税金を無駄遣いしている、というイメージが支配的である。本来は、この社会をよりよいものにするために、民のイニシアティブで、ということは自分たちの手で、なんとかしようとする組織のことなのだが、(そしてけなげに頑張っている組織も決して少なくないのだが)いかんせん、イメージ的に悪貨は良貨を駆逐してしまっている。
それにひきかえ、阪神淡路大地震の直後からにわかに知名度を増したNPOの方は、志を持った人々の集まりとして、好感度も高い。実はNPOと公益法人というのはその本質において全く同一であり、社会に対して果たしうる機能も全く同じなのに、である。 どうしてこんなことになったか、というと百年前に出来た民法が、公益法人の設立はお役所が認めたものに限る、と定めた。そして設立されてからもお役所が箸の上げ下ろしまで口を出す、という妙な運用が定着してしまった。この制度と運用に問題がある。これをなんとかしなくてはならない、という声が高まり、百年ぶりに公益法人制度改革立法が平成18年に成立した。 改革の骨子は、これまでお役所の許可がなければ設立も出来なかった公益法人を、株式会社と同じように法人設立は簡単にできる(準則主義)。しかし、その事業に「公益」性があるか否かは、いままでのようにお役所が設立と裏腹に認可するのではなく、第三者委員会が判定する、というものだ。ちなみに公益性がある仕事をしていると、税金面で特別の取り扱いを受けるのはこれまでと同じ(実はさらに有利な取り扱いになった)である。 一見制度改善に見える。現に許可制度から準則主義への転換を一大進歩と褒めそやした学識経験者も多い。しかし、これがとんでもない改悪であることが日にちが経つごとに明白になってきている。改悪である理由は余りに数多いから詳細は追々このブログでも紹介するとして、最大の問題は、お役所の外郭天下り団体がこれまでより遥かに簡単に設立できるようになったことだ。 つまりこれまではお役所がお手盛りで法人を作ると、いくら何でもそれはひどいじゃないか、という世論の非難が、歯止めとして働いた。お役所しか法人設立許可権を持っていないからだ。ところが、今度の改革では、設立は自由。肝心の公益性の認定と言う部分は役所の手を離れ、第三者委員会が行う、ということだから、これまでのようにお手盛りの天下り組織づくり、という非難はされないような仕掛けになっている。ところが、役所のしている仕事に関わりがあればそれは公益性があると認定するよ、という条項がちゃっかり法文に入っているから、何のことはない、今までとは比べ物にならないくらい簡単に天下り先が作れる事になる。 もともと、ぬくぬくと官庁の外郭団体が甘い汁を吸える、というのは法人制度の問題、というよりはそんな余分なオカネが存在している、という方に問題がある。だから、公益法人制度の問題としてこれを潰す、というわけにゆかないのも事実だ。でもまあ、こういうのを die hard (しぶとい)というのでしょうね。
by akirairiyama
| 2008-02-07 00:16
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