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2009年 01月 31日
市民社会は、お役所にできないこと、してはいけないこと、そしてお役所よりもうまくできることをするように出来ている。しかし、それだけでは雲をつかむような話で現実味がない。ならば、あなた任せ、お役所頼みはやめにして、とりあえず自分たちでなにかをしよう、というところからはじめてはどうだろうと述べた(12.29「他力本願」)。でも、何かを始めるといっても、ボランティアくらいしか思いつかないが、あれはあれで結構大変そうだし、第一ひとさまにお役に立つような技の持ち合わせもないし、という向きには、それでもできることは沢山ありますよ、というのが今回のテーマである。
市民社会にどうも元気がないのは、一つには先立つものとの兼ね合いがある、と指摘した(1.28「市民社会(3)」)。ならば、資金援助をする、ひらたくいうと寄付をしてみてはどうだろう、それだって立派に市民社会育成に役立つからだ。とはいっても、よほど親しい仲の人がやっている組織ならいざ知らず、見たことも聞いたこともない組織にオカネを出すなんて、なんだか不安だし、という例の信頼度の話になる。ことは簡単で、あなたにとって一番関心のあることは何か。そしてその関心のある分野で、どうもうまくいっていないんじゃないか、と思われるテーマは何か、を考えてみることだ。ひきこもりや不登校なのか、環境問題なのか、それとも老人介護だろうか。それがはっきりすれば、寄付のお相手を見つけるのはそれほど難しいことではない。 ただ、百円硬貨の一枚や二枚を「寄付」して、それでいっぱし市民社会に貢献したという訳には流石に参らない。曾野綾子氏流にいうと「懐が少し痛む」程度でなければ、これは寄付というほどのものではない。飲み代一回分でもよいし、買いたかったスカーフ一枚分でもよい。それで始めて、ということになる。しかし、お役所に出来ないこと、お役所にまかせるよりうまくできるのかどうか、という部分はどうやって判別するのだろう。いろいろなやり方があるが、ここでは一つ問題提起をしてみたい。 それは他でもない憲法第九条である。国際紛争を解決する手段として武力を行使することをわが国は禁じた訳だから、たとえ自衛隊がPKOに参加して、隣にいる同じミッションの外国軍がゲリラの攻撃を受けても、武器を持って一緒に応戦する訳にはまいらない。ソマリア沖の海賊退治ひとつにもいろいろと制限や注文がつく。まあ、その当否はしばらく措いて、自衛隊(お役所である)ができない、うまくやれない平和構築とか紛争予防のような分野は、非武装の市民社会組織にとって、特に日本にとってはいわば「これしかない」位の比較優位の高い分野だ。そんな途方もない夢物語を、というなかれ。例えば、日本紛争予防センター(http://www.jccp.gr.jp)という市民社会組織があって、瀬谷ルミ子さんという素敵な女性事務局長のもとで世界各地で大奮闘中だ。ところがこれが気の毒なくらい自由になるお金が少ない。こんなところに「懐が少し痛む」寄付でもすれば、税金を払うよりうんと効率が良いのは請け合いだ。
by akirairiyama
| 2009-01-31 16:11
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