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2009年 08月 29日
三日見ぬ間の桜ではないが、一週間弱西海岸に行っている間に日本の政治論調、もっと具体的にいえば明日の選挙結果に対する日本マスコミ各紙の予想トーンがだいぶ変わっていることにいささか驚いている。あちらではヘラルドトリビューンもLAタイムスも、今度は民主党が自民党を上回りそうだという程度の観測は共有しているからそのあたりにたいした違いはないのだが、やれ民主が300を超えるの、自民は100がやっとだろう。自民の領袖格の政治家が、民主党の送り込んだ刺客に軒並み慌てふためいている、ということになってくると話は少し変わってくる。
18日にこのブログに書いた(総選挙(2))情勢はあまり変わっているとも思われない。要するに選挙結果は、小泉もかくやと思わせるような「地滑り」には遠いものになろうし、存外比例区の持つ意味というものが見直されることになるのではないか。その結果を受けての政党間の離合集散もさることながら、政党内部からの諸グループの間にアメーバ運動のようなものが起きて、その動きそのものが、これまでに較べると、人の好悪とか、義理人情といったものをベースとした離合集散から変化を見せるのではないか。そしてそれは大変日本にとって望ましいことではないかというのが解題だ。もちろん当たるも八卦の世界だから、民主党の空前絶後の大勝利も夢ではなかろう。 しかしその場合であっても、霞ヶ関主導から永田町主導、つまり官僚の手になる政策形成から政治家の手に奪還する、という民主党シナリオがいかに可能か、最悪の場合は気ままに飛び回ったつもりの孫悟空が、なんのことはない地の果てで書き付けてきたおのが名前が、お釈迦様の五本の指に過ぎなかった、ということになりかねない、という危惧を持つ人は多かろう。さらには官公労、自治労といった出身母体の人々が幹部に存在しているとなると、これは奪還どころか取り込まれも極まるのではないかとも先に触れたところである。だから、政党の枠を超えた離合集散が、具体的な政策提言に沿ってなされるようなると、とりあえずは「いいとこ取り」ができる政治になりそうだし、こいつはめでたい、という話になりそうでもある。 反市場経済イデオロギーとしての共産主義、あるいはソ連邦が魅力を失ったのと同じ意味で、反自民、というスローガンにはいまや大して意味があるとも思われない。郵政民有化反対とかナントカの科学を信じるみたいな話を別にすれば、情念あるいはルサンチマンとしての反自民ではなく、脱官僚の影響力とか、ムダの削減をしてから増税を語ろう、といった、まっとうな議論を通じての「反自民」、数年の間に何回も総理大臣をすげ替えることを許す体質に対する「反自民」ということになれば、いや、なってはじめて政治は近代化の一歩を踏み出すように思う。
by akirairiyama
| 2009-08-29 01:05
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