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2009年 11月 14日
今回のフランス旅行には、願ってもない同行者がいました。日本における景観工学の創始者とも言うべき中村良夫教授で、彼はフランス留学経験者。フランスという国はひところ、英語が解るのに解らないふりをする、という意地悪なところもあったような国です。今ではそんなことはなくて、英語も結構通用する国になっていますが、そこはやはりフランス語が堪能な同行者がいるに越したことはありません。が、それはともかく、都市の景観、歴史についての該博な知識を惜しげもなく披瀝してくれるのですから、これはこたえられません。
フランスの、というより欧州の多くの国で、人口数万程度の小さな街でも整然とした美しい、というより愛すべき町並みがどこにでも見られるのは、一度でも欧州で小都市を訪れたことのある方ならば経験がおありになると思います。そんな街並を一緒に歩いていると。「街という観念は、何よりもこの中心部に広場があり、その周りには教会と市庁舎(フランス語ではhotel de villeというようです)さらに公共性の高い建物、例えば劇場とか裁判所のようなものが建つ。その中心から外側に街が形成される。この基本は人口がどれほど小さかろうが、それに関わりなく絶対に街造りで譲らない。」という解説が聞けるのです。 日本の都市景観を損ねているものの数は多いのですが、その一つが電信柱と空中に張り巡らされる電線であることには異論のある方はいないでしょう。これが欧州の都市では全くと言ってよいほど見られない。あれは地下溝にでも埋め込んであるのかというと、そうばかりではなく「建物の高さがほぼ均一な上に、建物と建物の間が密着している。だから壁伝いに電線を渡し、その色調をコントロールさえすればそんなに醜悪にはならない」のだそうで、事実、愛らしい街並の建物の上の方を見ると、確かに電線が壁沿いに貼られています。さらに、一階部分が店舗になっている建物でも二階以上は住居になっているケースが多く、これはパリのような大都市の中心部でもよく見られる現象です。ところが、「どんな小さな街の商業地域でも、二階以上の住居部分への入り口は、必ず全く別に作られている。だから、店舗部分だけ人に貸しても、大家は二階に住み続けられる。ところが日本ではそうはゆかないから、シャッター商店街にならざるを得なくなる。」のだそうです。 これが旅行の間中続いて、しかも中々のグルメで小じゃれたビストロを良く知っているときますから、極上のガイドさん(それも無料)を一緒につれて歩いているようなものです、こんな贅沢な旅行もない。持つべきものは良き友です。(中村先生は高校の同期生。大学に入るのに二年かかったというのも同じです。)という訳でパリ市内は言うに及ばず、近郊の小都市も幾つか訪ね歩きました。中でも秀逸だったのは、彼の案内でやや季節外れではあったのですが、プロヴァンスで数日を過ごしました。それについては次回に。
by akirairiyama
| 2009-11-14 01:03
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