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2009年 12月 12日
アフリカの腐敗した政府の話をするつもりだったが、たまたまオバマ大統領のノーベル平和賞受賞スピーチを聞いてしまった。これはアフリカをさておいて一言コメントするに値する内容だったように思われた。筆者の意見に反して大方の評判は、平和賞受賞者としての格調の高さよりは、現に二つの戦争を戦っている国の最高司令官としての自らの立場を正当化する方に力点を置いた「がっかり」するようなものだ、ということのようである。これは日本国内だけではなく、例えばワシントンポストのJessica Mathewsのような論客まで、国内向けの正当性擁護の演説だった、などと冷たい反応が一般的であったと言ってよい。だが、そこで終わってしまっては日本の政治に対する含意が汲み取れないままに終わってしまう。なにもオバマ大統領が日本政府に聞かせようと思ってあのアドレスをした訳でもなんでもないが、われわれとしては掬すべきものがあるのではないか、というのが解題である。
彼の平和賞受賞については、現に二つの戦争を戦い、増派まで決定した米軍最高指揮官である大統領に平和賞?という声が一つ。いま一つは、これまでの受賞者は何事かを達成して、その業績に対して受賞している。オバマは演説一回ではないか、というものだった。今回の演説で、彼はその両方の声に対して明示の形で彼の意見、反応を示している。演説中の正戦論、平和と武力論などなどについては異論のある向きももちろんあるだろう。しかし疑問視されている論点に就いて、彼は明確にメッセージを発している。日本の国内政治において、献金問題、国債問題、沖縄問題、幹事長の権限問題等々、どれひとつをとってもひいき目に見ても歯切れが悪い、悪く言えば時間稼ぎに過ぎないような首相発言とは好対照だ。 為政者が揚げ足を取られまい、とする態度に汲々としているだけでは議論は進化も深化もしない。逆に、攻める側、追い込む側として、ただ威勢が良いだけではなく、思わずホンネを語らざるを得ないような質問を提示できない自民党にも罪はある(It takes two to tango.)。玉虫色の決着こそがオトナの解決法だ、とされた時期が余りに永かったのではないか。右か左か、と二者択一で攻めるだけが能ではない、ということだ。「国家による武力行使が必要なだけでなく、正当化されることもあるだろう。」「願うだけでは平和はかなえられないこともわかっている。平和には責任が必要だ。平和は犠牲を伴う。」(12.11.朝日新聞朝刊6面要旨訳・あまりいい翻訳ではないが、便宜使用。)というボールを鳩山さんがどう受け止めて、どう投げ返すか。「思いやり予算」で足りている、というものでもないだろう。
by akirairiyama
| 2009-12-12 00:39
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