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2011年 05月 30日
前回(5.24「近事往来(2)」)の第一次産業従事者に就いて、農地の再使用、あるいは漁業関係諸条件が整うまでの間、大規模な途上国援助プルグラムを組んで、それに従事してもらうのも一案ではないか、と書いたところ、多くのご批判を頂いた。(これがコメント欄に書いて頂くと読者の皆様と議論が共有出来るのだが、筆者の個人メールアドレスに頂くので、公表出来ないのが残念です。)
ご批判は大きく二つに分かれ、一つは途上国援助プログラムと言っても、その概要が示されなければ具体的に可能かどうかが解らない、というもの。いま一つは、東北において90%近くの兼業農家に対して、自宅を一定期間離れて途上国に赴任することに現実性があるか、というものだ。いづれも誠にごもっともな指摘であることから、少しく意見を述べてみたい。 先ず第一の点に就いては、東南アジアとアフリカを念頭においているのだが、特にアフリカについては、農業振興による農民(全人口の9割を占める)の所得向上、資本蓄積が起こらない限り、この大陸に未来はないという点については大方の意見が一致している。のみならず、過去半世紀にわたる欧米諸国のODAは惨憺たる失敗の歴史であった。統計の取り方にもよるが、半世紀前に比べて零細農民の実質所得は低下している。4億人を超える農民が低生産性に喘いでいる、という構図だ。詳しく述べる余裕はないが、とかくの批判はあるものの日本のODAが最近力を入れているネリカ米は一定の条件下では目覚ましい成果を上げている。これの普及一つをとっても、数万人程度のプロジェクトを組むことにさしたる困難ではない。まして、それ以外に現地の主食であるソルガムやメイズ(いづれも玉蜀黍)の天水農業についても手法は確立されており、後は普及を待つばかりという状態にある。日本の農業労働者にとって、得意技であると言ってよいだろう。 それに比して第二の指摘は頭の痛いところだ。但し、幸か不幸か当分の間は兼業対象である産業も復興に時間を要する結果、働きに行こうにも行けない状態が続くことが予想される。兼業農家の全てとはいわないまでも、相当数を吸収することは可能なように思う。従来の農耕地の近傍に、あるいは日本国内に代替農地を求めることに伴う困難さに比較すれば、海外派遣というのは必ずしも現実味のない施策だとは思わないのだが。 このアイディアに実現可能性があるかどうかも去ることながら、国会での論戦が下らない不信任案だ、問責だ、はてはあのとき言った言わない、みたいな話でなく。こうした具体的な提案について議論がされたらどんなに素晴らしいことだろうと思う。
by akirairiyama
| 2011-05-30 14:48
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