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2012年 02月 18日
寒さをを推してN響定期はノセダのバトンで先ずマツエフのチャイコフスキーのPコンチェルト1番。今更マツエフとおっしゃる向きもあろうが、筆者は始めて聴いた。先ず何よりもそのダイナミズムに圧倒された。190センチのスマートな長身から、派手なボディアクションでの演奏には、その振り下ろすタッチでピアノが毀れるんじゃないかと思わせるくらいの迫力である。それも技巧や荒技のこれ見よがしではなく、彼一流に歌っている、という感じ。思えば最近のピアニストにはマツエフ流の超絶技巧(あるいはタッチ)でばりばり弾きまくる、という人が増えている様な気がする。コンクールでこんな人の後にでも弾かされた日にはたまったものではないだろうな、と妙な同情をしたりもすることだった。しかし、後味は爽快さだけではないところが彼の彼たる所以なのだろう。気持ちよい演奏だった。
もう一曲はカセルラという(筆者は)聞いたことのない作曲家の交響曲2番。マーラーの影響の強い賑やかな大曲だが、さて名曲かと言うことになるとどんなものだろう。こうした公演の選曲と言うのも、いつも運命だ悲愴だと言う訳にもゆかないだろうから、ときには虫干しの様な曲を披露するというのも一つの機能かもしれない。ただこの曲に限って言えば、ほとんど正統派の西部劇を眼前に彷彿とさせるものがあった。早脚での騎行あり、大平原に沈む夕日あり、決闘前の不気味な鐘の音あり、恋人同士の見つめあう目もあり、対決する荒くれ男あり。ジョン・フォードの映画か、OK牧場かツームストーンの決闘のBGMにしたらどんなに素敵だろうと思って聞いていた。 最近のTVコマーシャルが訳も解らずクラシックを入れたがる(幸福な男女二人のバックにアヴェ・マリア。あるいはヴェニスのゴンドラに何と新世界!)のも考えものだが、知られざるクラシックの中には存外な使われかたを待っている曲も結構多いのではないかと思ったりもする。これほどITが発達しているのだから、音源探しも一工夫あっても良いのではなかろうか。かつてバロックの名曲がフランス映画のBGMに使われて大ブレークしたことを記憶していらっしゃる方も多いだろう。まあ、みんなで揃って同じ振り付けで踊りながら斉唱で歌う、というのがヒットの本流であってみれば、ちと無理な相談かもはしれないが。
by akirairiyama
| 2012-02-18 00:18
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