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2008年 07月 02日
議員定数削減論議がこのところよく聞かれるようになった。大別すると地方議会のそれと国会に分かれ、前者については、どこもかしこも大赤字の地方財政にあって、大阪の橋下知事に代表されるような財政対策の一環として議論される場合も多いようだ。議員定数問題をこの視点を中心に議論することの是非については意見が分かれるだろうが、都道府県、市町村、特別区合わせて約6万人の議員が存在し、直接経費だけで4千億円ほどのオカネがかかっているとされる。これを多いと考えるか、それほどでもないと見るか。
実は地方議会、特に基礎自治体(市町村・特別区)の議会については、住民参加、あるいは首長との直接対話、といったチャンネルとの関係をどう考えるのか、という興味ある話題も存在する。つまり代議制民主主義は基礎自治体くらいの規模においても必要なのかという点だ。余り正面から議論されることもないが、議員定数削減よりも、こちらの方を真剣に考えてみれば、自づからそちらの答も出るのではないか、と思う。 それに較べると国会の方は単純明快か、というとそうでもないところが面白い。「ねじれ」以来議論されることの多い二院制と両院の付議事項の問題。比例代表区の要否の問題。さらには増税の前に経費削減、という見地からの議論。といったところが主だった論点だろうか。特に第二番目の問題は、比例区がなくなったら政党そのものがなくなりかねないという危機感を持つ人々にとっては大事件だろう。これと第一の二院制の問題をリンクさせて、比例制は参議院にだけあれば良い、という人もいる。当然我田引水のような議論が頻発する事になる。 よく耳にするのが、日本の議員数は議員一人当たりの人口から見ると、世界で最も少ない方だ、という話だ。公務員の数についても似たような議論をする人がいる。いわんとするところと水を引きたい田圃は明らかだから解説の必要はないだろうが、まず眉につばをつけるに越したことはない。確かに世界中で議院制度を持っている国全てを母集団にすればその通りだが、人口が一億人を超える国だけで比較すると話は全く逆で、日本の議員数は一番多くなる。先の基礎自治体の話と共通するところがあるのだが、政治形態は人口規模と密接な関係がある。人口数百人の町で有効な直接民主制が、まさか数百万人にふくれあがった都市で可能だと思う人はいないだろう。同じ議案を二つの議院で同じように議論するのは無駄だ、という人もいれば、いや、その方が熟議できる、という意見もあるのと同じで、多元的な価値観を含む議論には、相対立する意見が存在するのはむしろ当然だ。それを強いてある一つの理由だけから正しいとか、間違っているという種類の議論には気をつけた方が良い。もちろんことは議員定数だけではない。地球温暖化とか、人権、民主主義というのも軌を一にする。
by akirairiyama
| 2008-07-02 23:19
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