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2008年 08月 10日
CELA(4)最終回である。残念ながら日本の組織のほとんどは、こうしたユニークなプログラムを主催することが出来ず、陳腐な要人招聘とか、学者先生のお知恵を借りたありきたりのシンポジュームのたぐい(新聞の広告欄をご覧あれ。枚挙に暇がない。)しか開けない。それはかかって、日本の聴衆のみを相手にし、感性が世界に向かって開かれていないこと。そして、プログラム主催者の知性と見識の不足と「横並び」大好きな性向に起因する。だがことはそれだけではない。たとえ陳腐で愚劣なイベントでも、開かないよりは開いた方が良いことだってあるからだ。問題なのはさらに恐るべきことが進行中だということだ。
柔軟な知性の殺戮 国際問題と言えば「日本の国益」だといい、日本の国益とは日本の「顔の見える」貢献だと言う。あげく、大事なのは日米関係でコーカサスや中央アジアはどうでもよいと考える。せいぜい思いついてもエネルギーを高度に依存する中東であり、世界の潮流に乗り遅れないように一応の関心をアフリカに払う。こんな貧相な知性がいかにして育まれたのか。こんな硬直的なステレオタイプが何によってもたらされたのか。 他でもない官僚主義であり、予算主義であり、単年度主義である。というといかにも唐突に聞こえようが、省庁のタテ割りの利権構造に絡めとられ、公益国家独占主義と憲法89条体制のもとで、公のことはオカミがとりしきる。内容よりは形式、新規よりは前例、異論よりは同意、議論よりは権威を重視するメンタリティがどれほど長くの間幅を利かせてきたことだろう。その間にすっかり飼いならされた知性も少なくない。 既得権益に安住している人々にとっては、柔軟な知性や、ましてそれを実現したがる組織等というのは迷惑以外の何者でもない。現在進行中の「公益法人(これはほかでもないこうした柔軟な組織の典型であるべき組織だ)制度改革」において、優秀な官僚が能力のあらん限りを尽くして、公益法人を従来通りの陳腐な仕事だけをする組織にとどめ置き、あわよくばこれまで通り官庁の外郭団体にしておこう、としているのは前にも書いた(8.5「お役所まかせ」)から繰り返さない。しかし、今上げるべき声を上げないと、悔いは千載に残る事になる。民間非営利組織と言えば、外国の要人に取り入ったり、要人と握手をしている写真を机に飾る以外に能のない組織に陥ることは必然だからだ。 めきき 民主主義とは、「めきき」の存在を前提にする。けだしその存在がないところでは、限りない衆愚政治や、御用学者や茶坊主の集団になることは歴史が証明しているからだ。「めきき」はいかにして可能か。参加・脱退・設立・解散自由という極めて柔軟な無数の組織が、社会の中にアメーバのように存在することをおいて他にはない。これを市民社会と呼ぶのも良いし。NGO・NPOと呼ぶのも良い。全ての独裁者、権力者、官僚主義者はこれを忌み嫌った。その力と、自らに対して及ぼしうる影響を知るからである。ことはたかが一つのプログラムCELAである。しかし、そんなささやかなプログラムさえ生むことの出来ない社会とは、グローバル化した社会から便益のみを享受して応分の寄与をしない国とは一体なんだろう。考えることと言えばお身内の、仲間の、利益集団のことばかり。力を持ったものにすり寄り、人よりも一日でも早くその権力機構の要人と面識を得ようと言う、そんな卑しい国に日本はいつからなったのだろう。
by akirairiyama
| 2008-08-10 01:51
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