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2008年 11月 10日
芸術の秋。ついオペラ談義にふけってしまって、官僚制議論が中途半端なままになっているのを改めて続けてみたい。猫にワンと鳴けというのが無理なくらい、官僚に臨機応変柔軟な対応を求めるのは無理だし、また(これが肝心のところなのだが)すべきでもない、という点については前回(11.7「官僚制」)に述べた。ということになると、「民に出来ることは民に」という小泉時代のスローガンを懐かしく思い出される向きもあるだろう。ところが、これが市場原理主義だ、格差拡大の元凶だ、とひどい言われようでどうやらお蔵に入れられ、代わって無駄減らしをしよう、みたいな穏健な話にすり替わってきた。
国交省の地方整備局や農水省の地方農政局の地方自治体への移管の話、というのは他でもないその一例なのだが、「官」の仕事を「民」に移す、というラディカルな話に比べたら、二重行政の廃止という穏健極まりない話に化けているのは誰が見ても明らかだ。ところが、これさえも族議員をまきこんだ官僚の大抵抗にあってままならぬ仕儀になりかねないという。まことに恐るべきは官僚の自己保存エネルギーである。韓国の「落選させたい議員リスト」ではないが、何省の利権についての族議員がどなたで、どのような提案に対してどのように反対なさっているのかを明らかにしてくれるメディアはないものか。解散だ、選挙だとはしゃぎ回る前に、選挙民にしかるべき選択肢を示してくれるくらいのことはされてよい。でもなければ誰に投票してはいけないか、さえ解らない。 ついでに、お蔵入りになりかかっている「民に出来ることは民に」についても、無数に存在する馬鹿げた官のお仕事ぶりを、さらに摘発する活動はぜひ民主党に続けて欲しい。ニートだフリーターだ、非正規労働だ、と大騒ぎしている割には、職業訓練だ能力開発機構だ、みたいなテーマについて、どれほど税金が浪費され、何の役にも立たないプログラムが無数に横行しているか、実態を納税者に知らせる努力は誰もしていない。サラリーマンが、OLが、英会話を習ったり運転免許を取るのに、なぜ税金で補助をしなくてはならないのか。それがどれほど再就職、あるいはより高度な仕事に就くのに役に立ったか、実証されたためしを知らない。 アラ捜しをこととしているのではない。役人が自浄作業に取り組むことなどあり得ないし、事情を一番知っている、まとわりついている業界や族議員が告発なんぞをする訳がない。とすれば、原点に立ち返って、無駄な税金をなくす努力は「民に出来ることは民に」を具体的に検証することが一番だ、と指摘している。
by akirairiyama
| 2008-11-10 00:56
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